【完全解説】GPT-5の全て:機能、料金、使い分け、実用テクニック

OpenAIが満を持して発表したGPT-5。「史上最高の言語モデル」として喧伝され、AIの新時代を告げるモデルとして大きな期待を集めています。しかし、実際に使ってみると「思ってたのと違うけど頭いい」という、ある種のパラドックスを感じる方も多いのではないでしょうか。
GPT-5は確かに複数のモデルを統合し、ユーザーは難解なモデル選択から解放されたはずでした。しかし皮肉にも、新たに「GPT-5」「GPT-5 Thinking」「GPT-5 Pro」という3つのモデルが登場し、再び「どれを使うべきか」という選択を迫られることになりました。
本記事では、GPT-5の真の姿を明らかにするため、実際の検証結果に基づいた徹底解説をお届けします。料金プランの詳細から各モデルの特性、実用的なテスト結果、そして無料プランでも高度な機能を引き出すテクニックまで、GPT-5を最大限に活用するために必要な情報をすべて網羅しています。
「AIが思考する時代」と言われるGPT-5。その実力と限界、そして最適な使い方を、この記事で完全に理解していきましょう。
第1章:GPT-5の基本と変更点
ChatGPTが新たなフラッグシップモデル「GPT-5」にアップデートされました。単なるバージョンアップではなく、AI利用の根本的な考え方を変える可能性を秘めたアップデートです。では、具体的に何が変わったのでしょうか?
モデル統合:シンプルになったようで複雑なまま?
GPT-5最大の変更点は、これまで混在していた複数のモデルが統合されたことです。以前はGPT-4、GPT-4o、GPT-3.5、O3 Pro、O4 Mini、GPT-4.1など、さまざまなモデルがあり、用途によって使い分ける必要がありました。
これらが「GPT-5」というブランドのもとに統合されたものの、実際には以下の3つのモデルに分かれており、さらに裏側には「GPT-5 Mini」など、表に出ていないモデルも存在します。OpenAIはモデル選択の混乱を解消したかったのでしょうが、依然としてやや複雑な状況は続いています。
- GPT-5(標準モデル)
日常的な質問やタスクに迅速に対応する基本モデルで、バランスの取れた性能を持ち、多くのユーザーに適しています。 - GPT-5 Thinking(思考特化モデル)
複雑な問題に対してより深く考える推論特化モデルで、段階的な思考プロセスを経て高品質な回答を提供します。マルチステップの分析や専門的な検討が必要な場面で威力を発揮します。 - GPT-5 Pro(最高性能モデル)
「最難関タスク向け」に設計された最上位推論モードで、並列思考による相互検証を行い、最も高い精度と安定性を実現しています。重要な意思決定や複雑な課題解決において、他のモデルでは達成困難な成果を生み出します。
GPT-5の3つのモデル比較表
自動思考切替:必要に応じて「考える」AI
GPT-5の最も革新的な特徴は、質問内容に応じて思考モードを自動的に切り替える能力です。
上記3つのモデルは、リアルタイムルーターにより質問の複雑さに応じて自動選択されるか、ユーザーが明示的に選択することができ、速度と精度のバランスを最適化できる設計となっています。
リアルタイムルーターは、ユーザーからのリクエスト(問い合わせ)の内容や複雑度に応じて、GPT-5ファミリー内の最適なモデル(標準モデル、Thinkingモデル、Proモデル)を自動的に選択し、問い合わせを振り分ける仕組みです。これにより、ユーザーは個別にモデルを選択しなくても、常に適切な速度と精度のバランスが保たれた応答を得ることができます。
焼津ってどこ?
ウェブサイトを作成して
例えば、「焼津ってどこ?」という単純な質問には即座に回答し、「ウェブサイトを作成して」という複雑な指示には「よりいい回答のため思考中」と表示してから回答を生成するようになりました。
これまでは「深く考えてほしい」場合は手動でO3モデルを選択し、「すぐに答えてほしい」場合はGPT-4oを選ぶ必要がありました。GPT-5ではAIが自律的に判断し、適切な思考プロセスを選択します。
実際に検証してみると、この機能は完璧ではなく、時に不適切な思考モードを選択することもありますが、大きな一歩前進であることは間違いありません。
内部機能の自律的活用:見えないところでの進化
GPT-5はChatGPT内部の様々な機能(Web検索、コード実行、キャンバス機能など)をユーザーが明示的に指示しなくても自律的に活用できるようになりました。
たとえば「焼津で美味しい南マグロが食べられる場所を教えて」という質問に対して、自動的にWeb検索機能を使用し、マップ情報と共に回答を生成します。これまでは「Web検索を使って~」といった明示的な指示が必要でした。

ただし実際に検証したところ、この自律的機能選択はまだ発展途上で、特に複雑なタスクでは機能を適切に選択できないケースも見られました。
ハルシネーション(幻覚)リスクの軽減:完全解決ではない
OpenAIは「GPT-5ではハルシネーション(AIが事実と異なる情報を自信を持って提示する現象)のリスクが軽減された」と発表していますが、実際の検証では「全然ミスも多いし適当なことも返してくる」という印象でした。
ハルシネーションの完全解決は、おそらくGPT-6や7になっても難しいでしょう。これは人間も時に誤った記憶や思い込みに基づいて発言することを考えれば理解できます。引き続き、AIの回答は批判的に評価し、重要な情報は複数ソースで確認する習慣が必要です。
第2章:料金プランとモデル利用条件
GPT-5を使いこなすには、各プランでどのモデルがどこまで使えるのかを理解することが重要です。無料ユーザーでもGPT-5は使えますが、制限があります。ビジネスでの活用を考えるなら、プランの選択は慎重に検討する必要があるでしょう。
GPT-5対応料金プラン比較表
これらの料金体系を見ると、実務利用にはプラスプラン以上が必須と言えるでしょう。
フリープラン:制限はあるが基本機能は利用可能
無料ユーザーでもGPT-5の基本モデルは利用可能です。ただし以下の制限があります。
- GPT-5基本モデル: 5時間で最大10通程度
- GPT-5 Thinking: 1日1通のみ
- GPT-5 Pro: 利用不可
- 応答速度: 待機・混雑状況で制限される
- コンテキスト長: 8,000トークン(日本語で約4,000文字程度)
制限を超えると自動的に「GPT-5 Mini」という性能が若干落ちるモデルに切り替わります。ただ頻度の低い個人利用なら、これでも十分対応できるでしょう。
プラスプラン(月額3,000円):実用的な制限で高速応答
プラスプランはコストパフォーマンスに優れた選択肢で、以下の条件で利用できます。
- GPT-5基本モデル: 3時間で最大160通(ほとんどの用途で十分)
- GPT-5 Thinking: 週に200通まで
- GPT-5 Pro: 利用不可
- 応答速度: 高速(待ち時間なし)
- コンテキスト長: 32Kトークン(長文の処理が可能)
特に注目すべきはGPT-5 Thinkingの週200通という制限です。頻繁に利用する場合は制限に達する可能性がありますが、通常の業務利用なら十分でしょう。
プロプラン(月額3万円):制限なしの最高性能
本格的なビジネス利用やAIへの依存度が高い方向けのプランです。
- すべてのモデルがほぼ上限なく使用可能
- GPT-5 Proも利用可能(最も深く考えるモデル)
- 応答速度: 最速
- コンテキスト長: 128Kトークン(本1冊まるごと処理可能)
「ほぼ上限なし」とは、理論上は制限があるものの「ほとんどの人が上限に達することはない」レベルという意味です。価格は高いですが、AIに大きく依存するビジネスや、最高品質の回答が必要な専門職には価値のある投資と言えるでしょう。
チーム・エンタープライズプラン:組織向け高度利用
複数ユーザーでの共有や企業レベルでの導入には以下のプランがあります。
- チームプラン: GPT-5/Thinkingはクレジット制で利用、GPT-5 Proも利用可能
- エンタープライズプラン: 最高レベルのセキュリティと管理機能、128Kのコンテキスト長
これらのプランは料金が変動するため、具体的な金額は公式サイトで確認するか、OpenAIに直接問い合わせる必要があります。
API料金(開発者向け):大幅値下げで外部アプリにも導入しやすく
開発者やアプリケーションでGPT-5を利用する場合のAPI料金は、前モデルから大幅値下げされました。
この価格下落により、AIを活用した外部アプリケーションの開発コストが下がり、より多くのサービスがGPT-5を採用することが予想されます。
モデル | 入力(100万トークン) | 出力(100万トークン) | キャッシュ入力(100万トークン) |
---|---|---|---|
GPT-5 | $1.25 | $10.00 | $0.125 |
GPT-5 Mini | $0.25 | $2.00 | $0.025 |
GPT-5 Nano | $0.05 | $0.40 | $0.005 |
GPT-4o | $2.50 | $10.00 | $1.25 |
GPT-4oは引き続き利用可能
レガシーモデルとしてGPT-4oも引き続き利用可能です(フリープランでは利用不可)。設定画面の「レガシーモデルを表示」をオンにすることで、従来のモデルを選択できます。

第3章:3つのGPT-5モデルの違いと特徴
GPT-5には「GPT-5」「GPT-5 Thinking」「GPT-5 Pro」の3つのモデルがあります。見た目は似ていますが、内部処理と得意分野は大きく異なります。それぞれの特徴を理解し、用途に応じた最適なモデル選択ができるようになりましょう。
基本性能比較表
得意分野別適用表
GPT-5基本モデル:高速応答と必要時の思考
GPT-5基本モデルの特徴は以下の通りです。
- 応答速度: 最速(即時~数秒)
- 思考プロセス: 必要な場合のみ思考モードをオン
- 得意分野: 日常的なQ&A、文章執筆、軽めのコーディング
- 利用条件: すべてのプランで利用可能
基本モデルは高速応答が魅力で、簡単な質問には即座に答えます。しかし、「よく考えて」などの指示や複雑な質問には、内部で思考プロセスを実行することもあります。
一般的な使用では、このモデルから始めるのが良いでしょう。迅速な対話が可能で、必要に応じて深い思考も行います。
GPT-5 Thinking:常に深く考えるモデル
Thinkingモデルの特徴は以下の通りです。
- 応答速度: やや遅い(30秒~数分)
- 思考プロセス: どんな質問でも深く考える
- 得意分野: 数学、科学、情報統合、複雑な理解
- 利用条件: すべてのプランで利用可能(制限あり)
このモデルの最大の特徴は、常に深く考える点です。回答前に「思考中」と表示され、内部で複雑な推論を行います。実験では同じ質問でも基本モデルより高品質な回答が得られました。
特に、画像分析では基本モデルが見落とした小さなテキストを正確に認識するなど、注意深い分析力が光ります。情報の正確性や深い分析が必要な場合に最適です。
GPT-5 Pro:最長思考と並列処理
Proモデルの特徴は以下の通りです。
- 応答速度: 最も遅い(数分~10分程度)
- 思考プロセス: 最も長く、広く、深く考える
- 得意分野: 医療、科学、複雑なコーディング、最終判断
- 利用条件: プロプラン/チームプランのみ
Proモデルは並列処理が可能で、最も長い時間をかけて思考します。実験では同じ質問に対して約5分の思考時間を要しましたが、最も正確で詳細な情報を提供しました。
このモデルは、重要な最終判断や高度な専門知識が必要な場面に適しています。ただし、日常的なタスクでは時間がかかりすぎるため非効率です。
最適な使い分け方
実用的な観点から、以下のような使い分けが推奨されます。
GPT-5基本モデル向きのタスク
- 文字起こし、画像内テキスト抽出
- 画像生成、文章要約
- 日常的な質問応答
GPT-5 Thinking向きのタスク
- 検索と詳細分析
- コンテンツ作成(ブログ、レポート)
- コード生成、アイデア出し
GPT-5 Pro向きのタスク
- 市場調査、詳細レポート作成
- 複雑なシステム設計
- 医療・科学的判断
理想的な使い方は「GPT-5で壁打ちし、良い回答の方向性が見えたらThinkingモデルで深めて、最終的にProで精緻化する」という段階的アプローチです。
また、特定のタスク(特にリサーチ)では、モデルよりも「エージェント機能」を使うことで、より優れた結果が得られることも検証されています。
第4章:実用性検証結果
GPT-5は本当に使えるのか?華々しい発表の裏にある実態を知るため、様々なタスクで実際に検証を行いました。その結果、GPT-5の「強み」と「弱み」が明確になりました。ここでは、日常的に使われる代表的なタスクごとの検証結果を紹介します。
文字数カウント:指示の明確さが重要
最も基本的なタスクとして「200文字丁度の文章生成してください。」を依頼した結果。
GPT-5の文字数カウント:Pythonで文字数を計算が必須
136文字の文章を生成。指摘しても181文字という結果になりました。

「Pythonで文字数を計算してから生成して」と指示すると正確に200文字を生成してくれました。

生成AIサービス「BuddieS(バディーズ)」は、中小企業の現場課題に寄り添い、議事録作成や文章・メール生成、要約、翻訳を高精度に支援します。複数AIを統合し、操作は簡単。導入後すぐに成果を実感でき、業務をもっと楽しく、もっと効率的に変える頼れるパートナーです。セキュリティとサポート安心。部門別のテンプレート共有で品質標準化し、プロンプト再利用で時間を節約。まずは小さく始めて大きく育てられます。
GPT-5 Thinking:最初から正確に200文字の文章を生成
「BuddieS(バディーズ)」は、中小企業の業務を支える生成AIサービス。ChatGPTやClaudeなど複数エンジンを統合し、文章作成、議事録、メール返信、企画立案までスピーディーに支援。誰でも安心して使える管理機能とサポートで、AI活用を身近にし、成果と時間を同時に生み出します。コンセプトは「AIの力でビジネスをもっと楽しく、もっと効率的に」。導入も簡単、すぐ実務で効果を実感。サポート万全。
この結果から、GPT-5は内部機能を自動で選択するという触れ込みとは裏腹に、明示的な指示が必要であることが判明しました。「自分で考えて機能を選択する」という点ではまだ発展途上といえるでしょう。
画像解析:小さなテキスト認識の差
検証する画像は、AIサービス「BuddieS」のブース出展画像。「このサービスを提供している画像は?」とChatGPTへ質問をして、画像内からサンロフトを解析できるかの検証です。
あえて、高画質ではない画像を使い、どの程度読み取れるかも見てみようと思います。

GPT-5
無事に画像内の看板を解析して、サンロフトという回答が返ってきました。画像の説明も「展示ブース」「ブランドカラー」「キャラクターの説明」をしてくれました。

どのような画像であるかまで、質問してみると、即座に詳しい回答をしてくれました。

GPT-5 Thinking
Thinkingでも、19秒という時間がかかりましたが、サンロフトという回答が返ってきました。

どのような画像であるかまで、質問してみると、50秒の思考を経て詳しい回答をしてくれました。

この検証ではThinkingモデルを利用せずとも、GPT-5モデルで十分に画像解析が出来ることが分かりました。
リサーチ能力:エージェント機能の圧倒的優位
「静岡県の中小企業のAI導入に関するデータをまとめて」という指示に対して、GPT-5 Thinkingとエージェント機能での違いを検証してみました。
GPT-5 Thinking
- 要点抽出重視: 「ギュッとまとめました」という表現通り、数値データを中心とした簡潔な整理
- 比較分析: 全国平均との対比で地域特性を浮き彫りにする構成
- 速報性: 最終更新日時を明記し、リアルタイム感を演出
エージェント機能:1回の質問で正確かつ詳細な情報を取得
以下の画像のように、「エージェント」をクリックすると機能を利用することができます。

ChatGPTのエージェント機能とは、ユーザーの指示に応じて複数ステップのタスクを自律的に実行するAIシステムです。従来のChatGPTが質問に答えるだけのAIだったのに対し、このエージェント機能は実際に行動してウェブサイトの操作やデータ入力、資料作成などのオンライン作業を自動でこなします。ユーザーは自然言語で指示を与え、AIはその指示に基づいてタスクを計画し、実行し、進行状況をナレーション形式でリアルタイムに可視化します。さらに、作業の途中でユーザーが操作を引き継ぐことも可能で、常にユーザーがコントロールできる設計になっています。
- 網羅的調査: 6分かけて多角的にデータを収集・分析
- 構造化: 章立てした詳細なレポート形式で情報を体系化
- 分析的: 現状を分析的に位置づけ
Thinkingは「すぐに使える要点整理」、エージェント機能は「詳細な調査報告書」として、求める情報の深度や用途によって使い分けが効果的と言えるでしょう。
コンテンツ作成:指示精度の重要性
「ChatGPT5についての記事を書いて」という依頼をして、精度を検証しました。
GPT-5
「それなりの内容」を生成。読みやすさという観点では優勢。
GPT-5 Thinking
同様に「それなりの内容」で、深みがある。ただ、読みにくい。
いずれにしても、依頼文が雑であるため、意図した記事ではありませんでしたが、指示次第で十分な記事が書けるでしょう。また、キャンバス機能を自動で使わず、明示的指示が必要でした。
4コママンガ
「生成AIの仕組みを簡単に伝える4コマ漫画を作成してください。各シーン1つずつ作成してください。」という依頼をして、精度を検証しました。
GPT-5
■生成された4コマ
- 2コマしかないが、設計を見ると4コマ分のテキストは挿入されている
- 各シーン1枚ずつの画像ではなく、1枚で出力されている

GPT-5 Thinking
■生成された4コマ
- 4コマが揃っている
- 一度間違いがあったら修正して正しいものを再出力している
- 各シーン1つずつの画像で出力されている




プログラミング:テトリスゲーム
「世の中にない斬新な発想を含めた新型テトリス風のブラウザゲームを作成して」という依頼をして、精度を検証しました。
GPT-5 Thinking


「斬新なテトリス風ゲーム」の特徴は、エネルギーを消費して、重力により画面を回転させ、連鎖を起こさせる新要素。なかなか面白く難しいテトリスが1行の依頼で完成しました。
音声データ作成
「「正解した」みたいな雰囲気の効果音を作成して」という依頼をして、精度を検証しました。

感じ方は人ぞれぞれ。やれなくはないし、調整次第で利用できるかもしれません。
「ピンッ♪ピンッ♪」と明るい2連チャイム
上昇アルペジオで“正解感”強め
きらっと輝くチャイム+スパークル
検証結果からの重要な示唆
これらの検証から得られた重要な示唆は以下の通りです。
- 自動機能選択はまだ発展途上
明示的な指示がない場合、適切な内部機能を選択できないケースがある - 指示の質が最重要
どのモデルを使うかよりも、「どう指示するか」の方が結果に大きく影響する - タスクによってモデル選択を行う必要がある
- 単純なタスク → GPT-5
- 複雑な分析・創造 → Thinking
- 極めて重要な判断 → Pro
- エージェント機能の優位性:特にリサーチ系タスクではエージェント機能が最も効果的
これらの検証結果は、GPT-5が「革命的」というよりは「進化的」なアップデートであることを示しています。使いこなすには、依然としてユーザー側の知識と適切な指示が重要なのです。
第5章:GPT-5の評価と実際の使用感
期待と現実のギャップ
GPT-5リリース前には「AIの自律性が飛躍的に向上する」「指示なしで最適な回答が得られる」といった期待が高まっていました。しかし実際の使用感は「思ってたのと違うけど頭いい」というのが正直な感想です。
OpenAIのCEOであるサム・アルトマンが「AGI(汎用人工知能)は近い」と示唆する発言をしたこともあり、期待値が非常に高くなっていました。
しかし、「発信者が言っているほどの変化は感じなかった」というのが正直な感想です。
- 文章生成の説得力や論理性はやや向上
- しかしGPT-4との劇的な差は感じられない
- 特に「自律的に機能を選択する」点は期待ほど進化していない
自律的モデル選択の現状
GPT-5の最大の特徴とされた「適切なモデルを自動選択」する機能は、現状では限定的な効果しか示していません。
- 簡単な質問には即答、複雑なタスクでは思考時間を設ける点は改善
- しかし内部機能(コード実行、画像解析等)の自動選択は不完全
- 明示的な指示なしには最適な機能を活用できないケースが多い
「ユーザーは簡単な質問をするだけでベストな回答を出してくれる」という理想には、まだ遠い状況です。
ハルシネーション問題の現実
幻覚(ハルシネーション)問題については、「改善された」という公式発表に反して、「全然ミスも多いし適当なことも返してくる」といった状況です。
正直、GPT-6以上になってもハルシネーションをなくすのは難しいのではと考えます。人間もハルシネーションは起こすためどこまで改善出来るかは未知数です。
つまり、AIの回答を無批判に信じるのではなく、常に批判的に評価する姿勢が依然として必要です。
指示の重要性は変わらず
GPT-5時代になっても「指示の仕方」の重要性は変わりません。
- 適切な指示で無料プランでも高品質な回答が得られる
- 逆に曖昧な指示では最高級のモデルでも低品質な回答に
- ChatGPTの裏側にある機能を理解することが重要
実務利用におけるプラン選択
これらの評価を踏まえ、実務利用には以下の結論が導かれます。
- 「プラスプラン必須」: 無料プランのThinking制限(1日1回)では実務利用不可
- ライトユーザー: 無料プランで十分(GPT-5基本モデルも普段使いレベルでは実用的)
- ヘビーユーザー/ビジネス利用: プラスプラン以上を推奨
興味深いのは「これはGPT-4時代のO3モデルと同じ」です。
GPT-5になっても、有料プランの必要性という結論は変わらないのです。
第6章:効果的な活用テクニック
GPT-5の可能性を最大限に引き出すには、適切な使い方が鍵となります。ここでは、無料プランでも高度な機能を活用できるテクニックや、回答品質を向上させる実践的な方法を紹介します。これらのテクニックを使いこなせば、GPT-5の真の力を体験できるでしょう。
思考促進コマンド:無料プランでもThinkingモードを引き出す
無料プランではGPT-5 Thinkingが1日1回しか使えませんが、以下のテクニックで通常のGPT-5でも思考力を引き出せます。
生成AIについて、よく考えてから詳細に説明してください。
思考の過程も示してください。
このように「よく考えて」といった指示を入れると、GPT-5基本モデルでも思考モードが活性化します。
実験では、このテクニックを使うことで「GPT-5基本モデルでも考える時間を設けて、より詳細で正確な回答を生成」することが確認されました。
ただし、Thinkingモデルよりは思考時間が短く、複雑な問題では差が出る場合もあります。それでも無料プランでの活用価値は非常に高いテクニックです。
ファクトチェック指示で精度向上
ハルシネーション(幻覚)を減らし、より正確な情報を得るテクニック。
◯◯ついて教えてください。
生成した後にしっかりとファクトチェックをした上で再生成してください。
このように「生成後ファクトチェックをして」と指示すると、内部的に一度回答を生成した後、それを見直して精度を高めるプロセスが追加されます。
検証では、このテクニックを使うことで日付や数字などの事実関係の正確性が向上することが確認されました。特に歴史的事実や統計データなど、正確性が求められる情報を扱う場合に有効です。