【クリエイター必見!】生成AIを使っても給料は上がらない。それでも、あなたが今すぐ始めるべき理由

AIを活用すれば業務が効率化できますよ
そう言われて、あなたはどう感じただろうか。
また新しいツールか…
結局、使いこなせる気がしない
効率化しても、どうせ仕事が増えるだけでしょ
もしそう思ったなら、あなたは正しい。
私はこれまで、DX推進の現場で複数の企業のAI導入支援に携わってきた。そこで気づいたのは、生成AIが普及しない理由は、技術の難しさでも、ツールの使いにくさでもないということだ。
多くの会社員にとって、AIで業務を効率化する動機が存在しない。むしろ、効率化すればするほど損をする仕組みになっている。
だから、あなたが生成AIを「使おうと思えない」のは当然なのだ。
しかし同時に、こうも言える。
その考えのままでは、5年後、あなたの仕事はなくなっているかもしれない。
なぜなら今、1/10のコストでサービスをローンチする「AIネイティブ企業」が次々と誕生しているからだ。ある大手IT企業では、AI導入後1年でエンジニア1人あたりの開発生産性が64%向上した(メルカリ社 2024年7月公開データ)。
競合がこのスピードで動いているとき、あなたの会社は、あなた自身は、どう戦うのか。
この記事では、以下の3つを明らかにする。
- なぜ会社員は生成AIを使わないのか(構造的な理由)
- 「クリエイティブな仕事こそAIが得意」という逆説(技術的な本質)
- 組織でAIを推進するために必要なこと(実践的な方法論)
これは、「AIツールの使い方」を解説する記事ではない。
生成AIという技術が、働き方そのものをどう変えるのか。
そして、あなたがこれからどう生きていくべきかを問う記事だ。
DX推進の最前線で見てきた現実を、余すところなくお伝えしよう。
第1章:会社員が生成AIを使わない「構造的な理由」

効率化しても給料は上がらない現実
まず、冷静に考えてみてほしい。
あなたが生成AIを使って、これまで3時間かかっていた業務を30分で終わらせられるようになったとしよう。2時間30分の時間が浮く。
その結果、あなたの給料は上がるだろうか?
答えは、ほとんどの場合「No」だ。
ただし、ここで諦める前に一度確認してほしいことがある。
あなたの会社の目標管理シートや評価基準を、改めて見直したことはあるだろうか?
実は、多くの企業では「業務効率化」「生産性向上」「新しいツールの活用」といった項目が、すでに評価基準に含まれている。ただし、それを本人も上司も見ていないだけというケースが驚くほど多い。
評価制度は整っている。しかし、誰もそれを活用していない。
もし、あなたの会社の評価基準に「業務改善」や「効率化の取り組み」が項目として存在するなら、それは使えるカードだ。AI活用を正当に評価してもらえる可能性がある。
まずは、自分の評価制度を確認してみよう。
業務を100から50にしても、残り50が降ってくるだけ
仮にあなたが業務量「100」を「50」に圧縮できたとしても、その成果を上司や会社に報告するだろうか?
多くの人は、しない。
なぜなら、報告した瞬間に残りの「50」分の業務が新たに降ってくることを知っているからだ。
おお、時間に余裕ができたんだね。じゃあこの案件もお願いできるかな
こうして、結局業務量は「100」のままか、むしろ「120」に増える。
効率化の恩恵は、自分ではなく会社が受け取る。
だからこそ、「効率化したこと」を評価制度の中でどう位置づけるかが重要になる。単に「時間が空いた」と報告するのではなく、「業務改善に取り組んだ」という成果として記録する視点を持とう。
経営層と現場社員の「生成AI活用の動機」の違い
ここで重要なのは、経営層と現場社員では、生成AIに対する「動機」がまったく異なるということだ。
経営層にとってのAI
- 人件費の削減
- 生産性の向上
- 競争優位性の確保
現場社員にとってのAI
- 給料は変わらない(ように見える)
- 業務量は減らない
- 新しいツールを覚える手間が増える
この動機設計の不一致が、組織でのAI導入を阻む最大の要因だ。
しかし、もしあなたの会社に「業務効率化」を評価する仕組みがあるなら、それは経営層と現場をつなぐ接点になる。
だから、まずは「評価制度」を確認しよう
ここまで読んで、どう感じただろうか。
「やっぱりそうだよな」と思う一方で、「でも、本当にうちの会社は何も評価してくれないのか?」と疑問を持ったかもしれない。
その疑問は、正しい。
多くの企業では、すでに「業務改善」「生産性向上」「新しい取り組み」といった評価項目が存在する。
ただし、それが活用されていないだけだ。
- あなたは自分の評価基準を把握しているか?
- 上司はその評価基準を意識しているか?
- AI活用を「業務改善」として記録しているか?
まずは、自分の会社の評価制度を改めて確認してみよう。
もし、そこに「効率化」や「業務改善」の項目があるなら、それはあなたが使えるカードだ。
AI活用を正当に評価してもらえる可能性がある。
ただし、現実はもっと複雑だ。
たとえ評価項目があったとしても、「AI活用」が本当に評価されるかどうかは、上司や組織文化に大きく依存する。
さらに言えば、評価制度の問題だけではない。
今、あなたの会社の外で、何が起きているか知っているだろうか?
1/10のコストでサービスを立ち上げる企業が次々と生まれ、あなたの会社のシェアを奪いに来ている。
あのメルカリでは、AI導入後1年で開発生産性が64%向上した。
これは、評価されるかどうかという話ではない。
生き残れるかどうか、という話だ。
あなたが今のまま何もしなければ、5年後に何が起きるのか。これを考えてほしい。
第2章:その考えのままだと仕事がなくなる

AIに置き換えられない仕事は、実は存在しない
ここで一つ、厳しい現実を伝えなければならない。
AIに置き換えられない仕事は、実は存在しない。
いや、クリエイティブな仕事は人間にしかできないでしょ。
AIには感情がないから、人間的な判断が必要な仕事は残るはず。
そう思う気持ちはよくわかる。私も以前はそう考えていた。しかし、DX推進の現場で複数の企業を支援し、生成AIの進化を目の当たりにする中で、この考えを改めざるを得なくなった。
「人間にしかできない仕事」という言葉を使わない理由
私は意識的に、「人間にしかできない仕事」という言葉を使わないようにしている。
なぜなら、それは幻想だからだ。
確かに、現時点では人間の方が得意な領域はある。
しかし、それは「人間にしかできない」わけではなく、「今のAIがまだ苦手なだけ」だ。
例えば…
- 複雑な文脈を読み取る → GPT-4やClaudeはすでに高精度
- 創造的なアイデアを出す → Geminiは膨大なパターンから新しい組み合わせを提案できる
- 感情に寄り添う → NotebookLMは文脈を理解し、適切なトーンで応答する
技術は日々進化している。「人間にしかできない」と思っていた仕事が、半年後、1年後にはAIにできるようになる。
そのスピードは、私たちの想像を超えている。
人間もLLMに近い:ハルシネーションは人間にもある
ここで、もう一つ重要な視点を共有したい。
生成AIを批判する人は、よく「ハルシネーション(幻覚)」を指摘する。
AIは嘘をつく
信頼できない情報を出す
確かにその通りだ。しかし、人間はどうだろうか?
人間も、記憶違いをする。思い込みで判断する。都合の良い情報だけを見て、都合の悪い情報を無視する。
それどころか、人間は悪意を持って嘘をつくことすらある。
AIのハルシネーションは、確率的な予測の結果として起きる。
一方、人間の間違いは、認知バイアスや感情、利害関係によって起きる。
どちらがより「信頼できる」のか。
少なくとも、「AIだから信頼できない。人間だから信頼できる」という単純な二元論は、もはや成り立たない。
私たちはAIを信じきれず、人を信じすぎている
私がこれまで複数の企業でAI導入支援をしてきて感じるのは、多くの人がAIを信じきれていないということだ。
AIの出力は最終的に人間がチェックしないと
AIに任せるのは怖い
その慎重さは理解できる。しかし、同時にこうも思う。
では、人間の出力は、誰がチェックしているのか?
人間が作った資料も、誤字脱字がある。論理が破綻している場合もある。データが間違っていることもある。
それでも、私たちは「人間が作ったから大丈夫」と思い込んでいる。
逆に、AIが作った資料は、たとえ完璧でも「本当に大丈夫か?」と疑う。
このご都合主義に、私たちは気づくべきだ。
AIを信じすぎるのも問題だが、人を信じすぎるのも同じくらい危険だ。
では、何が起きるのか
ここまでの話をまとめよう。
- AIに置き換えられない仕事は、実は存在しない
- 人間もAIも、完璧ではない
- 私たちはAIを過小評価し、人間を過大評価している
この状況で、あなたが「AIを使わない」という選択を続けたら、何が起きるか。
答えは明確だ。
あなたの仕事は、AIを使いこなす人に奪われる。
それは、AIそのものではなく、「AIを使える人間」だ。
「クリエイティブな仕事こそAIが得意」という、現実を知ったほうが良い。
第3章:「クリエイティブな仕事こそAIが得意」という逆説
PDCAサイクルで考える:Doは旧来の自動化、それ以外が生成AI

多くの人が生成AIに期待するのは、「作業の自動化」だ。
Excelの集計を自動でやってほしい
毎日のレポートを自動生成してほしい
定型業務を任せたい
これらは確かに重要だ。しかし、実はこれらの業務は、生成AIが最も得意とする領域ではない。
ここで、PDCAサイクルで考えてみよう。
- Plan(計画) – 何をすべきか考える
- Do(実行) – 実際に作業する
- Check(評価) – 結果を検証する
- Action(改善) – 次に向けて改善する
多くの人が「AIに任せたい」と思うのは、Do(実行)の部分だ。
しかし、実際にはDo以外の部分こそ、生成AIが真価を発揮する領域なのだ。
なぜなら、Doの部分は「ルールが明確に決まっている」ことが多い。そして、ルールが明確な作業は、従来のRPA(Robotic Process Automation)やマクロ、プログラミングで自動化すべきだからだ。
例えば、
- 毎日決まった時間にデータを取得する → RPA
- 特定の条件でメールを振り分ける → フィルタ設定
- 1+1を計算する → Excel関数
これらは、生成AIではなく、ルールベースの自動化が適している。
なぜなら、LLM(大規模言語モデル)は確率的に次の単語を予測する仕組みであり、毎回出力が異なる可能性があるからだ。1+1を計算させたら、99.9%は「2」と答えるが、0.1%の確率で「3」と答えるかもしれない。それがLLMの性質だ。
だから、確実性が求められる定型業務には、生成AIは向かない。
では、生成AIは何が得意なのか?
私が使っている4象限マトリクス思考法
私は、業務を以下の4象限で整理している。

【第1象限】生成AIを含む自動化で効率化・高度化領域
→ 生成AI+一部自動化
- 戦略立案
- 企画書作成
- マーケティング施策の検討
- レイアウト・デザイン構成の検討
ここが生成AIの本領発揮の場だ。 AIが企画のたたき台を作り、人間が最終判断する。
【第2象限】AIとの協働・発想支援領域 → 生成AIをパートナーとして活用
- 毎週の振り返りミーティング
- 定期的な改善提案
- 継続的なコンテンツ制作
定型的だが、毎回内容が異なる。 AIと対話しながら、質を高めていく。
【第3象限】自動化(RPA含む)領域
→ 旧来の自動化(RPA、マクロ、プログラミング)
- 毎日決まった時間にデータを取得
- 特定条件でのメール振り分け
- 定型フォーマットへのデータ転記
ここは生成AIを使うべきではない。
ルールが明確なので、従来の自動化ツールの方が確実で速い。
【第4象限】手作業・スポット対応領域
→ 人間が行う領域
- 突発的なコピペ作業
- イレギュラーな確認業務
- 臨機応変な対応
これが「人間に残る仕事」だ。
皮肉なことに、私たちが「AIに任せたい」と思う単純作業ほど、人間がやらざるを得ない。
創造性が求められる非定型業務こそ生成AIの領域
ここまで読んで、気づいただろうか。
生成AIが最も得意なのは、【第1象限】【第2象限】の領域、つまり「創造性が求められる業務」だ。
- アイデアを出す
- 構成を考える
- 複数の視点から分析する
- 改善案を提案する
- 戦略を立てる
これらは、まさにクリエイティブワークだ。
デザイナー、ライター、マーケター、企画職。
こうした職種の人たちこそ、生成AIの恩恵を最も受けられる。
逆説的だが、「クリエイティブだから人間にしかできない」と思われていた仕事ほど、AIが得意なのだ。
第4章:生成AIネイティブ企業の脅威

1/10〜1/100のコストでサービスをローンチする時代
AIを使わなくても、今の仕事は回っている
そう思うかもしれない。
しかし、あなたの会社の外で、今まさに起きていることを知っているだろうか。
1/10、場合によっては1/100のコストで、サービスを立ち上げる企業が次々と生まれている。
これは誇張ではない。
以前のWebサービス開発体制
- エンジニア5人
- デザイナー2人
- マーケター2人
- プロジェクトマネージャー1人
合計10人のチームで、3ヶ月かけて作っていた
今のWebサービス開発体制
- エンジニア1人(AIコーディング支援あり)
- 1週間
少数かつ短時間で作れる時代になっている。
人件費も、開発期間も、劇的に圧縮されている。
そして、これは「いつか来る未来」ではない。
今、すでに起きている現実だ。
開発生産性64%向上という現実のデータ
具体的なデータを見てみよう。
大手IT企業(メルカリ)では、AI導入後1年で以下の成果を上げている。

- AIツール利用率:95%
- プロダクト開発におけるコード生成のAI作成比率:70%
- エンジニア1人あたりの開発量:64%向上
(出典:メルカリ社 2024年7月公開データ:こちらから引用)
これは単なる期待値ではなく、実測値だ。
64%の向上とは、どういうことか。
これまで10人で行っていた開発を、6人で完了できるということだ。
あるいは、10人のチームのまま、1.64倍の機能を実装できるということだ。
では、あなたの会社はどうだろうか。
もし、あなたの会社が「AIはまだ様子見」という姿勢なら、競合は今この瞬間も、あなたの会社の1.6倍のスピードで動いている。
1年後、2年後、その差は取り返しがつかないものになる。
競合が圧倒的にシェアを奪いに来る可能性
ここで冷静に考えてほしい。
もし、あなたの競合がこのような状態だとしたら、どうなるか。
- 開発コストが1/10
- 開発スピードが10倍
- 少人数で高速にPDCAを回せる
価格競争で負ける。
競合は、あなたの会社の半額でサービスを提供できる。なぜなら、コストが1/10だからだ。
スピードで負ける。
競合は、あなたの会社が1つの機能をリリースする間に、10の機能を試し、3つを実装している。
人材獲得競争で負ける。
競合は、少人数で大きな成果を出すため、一人ひとりに高い報酬を払える。優秀な人材は、そちらに流れる。
これは、製造業の世界で何度も繰り返されてきたことだ。
かつて、日本の家電メーカーは世界を席巻していた。しかし、中国や韓国の企業が、より低コストで高品質な製品を作れるようになった瞬間、シェアを失った。同じことが、今、デジタル産業で起きようとしている。
AIネイティブ企業が、既存企業のシェアを奪いに来る。
AIを使う・使わないは、もはや「選択肢」ではない
あなたが「AIを使わない」という選択をしたとき、隣の席の同僚は「AIを使いこなす」選択をしているかもしれない。その同僚は、あなたの2倍の成果を出すようになる。
そして、評価されるのはその同僚だ。
AIを使う・使わないは、もはや「選択肢」ではない。
生き残るための「必須条件」になりつつある。
第5章:AIを使いこなすための「オンボーディング」という考え方

「使い方」ではなく「育て方」を考える
第4章で見てきたように、AIを使う・使わないは、もはや選択肢ではない。生き残るための必須条件だ。
では、どうやってAIを使いこなすのか?
多くの人は「使い方」を学ぼうとする。プロンプトの書き方、ショートカットキー、便利な機能……。
しかし、それだけでは不十分だ。
私が推奨するのは、「育て方」を考えることだ。
AIを「便利なツール」として見るのではなく、
「一人の優秀だが、まだ社内のことを何も知らない新人」として捉える
そして、新人を迎え入れるように、AIを迎え入れる
この考え方を、私は「AIのオンボーディング」と呼んでいる。
AIに伝えるべき3つの情報
新人が初日から高いパフォーマンスを発揮できないのは、会社の文脈(コンテキスト)を知らないからだ。AIも全く同じだ。
AIに適切な出力をしてもらうためには、以下の3つの情報を伝える必要がある。
1. 会社の文脈
- 事業内容:何をしている会社なのか
- 業界:どんな業界で、どんな競合がいるのか
- 顧客:誰に対してサービスを提供しているのか
- 社内用語:よく使われる略語や専門用語
例えば、「提案資料を作って」と言っても、AIは「誰に対する提案なのか」「何を提案するのか」「どんなトーンが適切なのか」を知らない。
2. 業務の文脈
- 目的:この作業は何のために行うのか
- 期待値:どのレベルの完成度を求めているのか(たたき台でいいのか、完成形が必要なのか)
- 制約条件:文字数、フォーマット、締め切り、参照すべき資料
- 背景:これまでの経緯、過去の議論
例えば、「議事録を作って」と言っても、AIは「この会議の目的は何だったのか」「誰に共有するのか」「どの程度詳しく書くべきなのか」を知らない。
3. あなた自身の文脈
- 役割:あなたは何の担当者なのか
- スタイル:普段どんな言葉遣いをするのか、どんなトーンを好むのか
- 優先順位:何を重視するのか(スピード重視なのか、正確性重視なのか)
- 過去の成果物:あなたが過去に作った資料のスタイル
例えば、同じ「メールの返信文を作って」でも、営業担当者とエンジニアでは、求められる文体が全く違う。
実践:対話しながら精度を上げる
重要なのは、一度にすべてを伝えようとしないことだ。
新人教育でも、初日に会社のすべてを説明しても、混乱するだけだ。必要な情報を、必要なタイミングで渡す。
AIも同じだ。
実践例1:企画書作成
❌ 悪い例(一度にすべてを詰め込む)
新規事業の企画書を作成してください。
うちの会社は〇〇業界で△△をやっていて、顧客は□□で、
今回の新規事業は▽▽で、予算は××で、競合は……
(長いプロンプトが続く)
⭕ 良い例(段階的に対話する)
ステップ1:
「新規事業の企画書を作りたい。まず、どんな情報が必要か教えて」
ステップ2:(AIが質問してくる)
「事業内容、ターゲット顧客、予算感、競合状況などが必要です」
ステップ3:
「了解。事業内容は〇〇、ターゲットは△△。まずは構成案を出して」
ステップ4:(AIが構成案を出力)
「いいね。ただ、2章と3章を統合して、代わりに市場分析を追加して」
ステップ5:(AIが修正案を出力)
「完璧。じゃあ、1章から順番に本文を書いていこう」
このように、対話しながら、段階的に情報を渡し、精度を上げていく。
実践例2:マーケティング施策の検討
❌ 悪い例(丸投げ)
「来月のマーケティング施策を考えて」
⭕ 良い例(文脈を与える)
ステップ1:
「来月のマーケティング施策を考えたい。
うちのサービスは〇〇で、ターゲットは△△。
現在の課題は、認知度は高いが購入に至らないこと。
予算は月50万円。何か案はある?」
ステップ2:(AIが5つの施策案を出力)
ステップ3:
「2番目と4番目が良さそう。それぞれ具体的なKPIと実施スケジュールを出して」
ステップ4:(AIが詳細を出力)
ステップ5:
「2番目の施策で進めよう。社内プレゼン用の資料を作って」
新人に仕事を任せるとき、あなたはこうやって段階的に指示を出すはずだ。AIも全く同じだ。
実践例3:議事録の自動生成
❌ 悪い例(音声を渡すだけ)
「この会議の議事録を作って」
(音声ファイルだけを渡す)
⭕ 良い例(会議の文脈を与える)
ステップ1:
「これは新規事業の進捗確認会議。
参加者は、プロジェクトマネージャー、デザイナー、エンジニアの3名。
目的は、次のマイルストーンまでのタスク確認。
議事録は、要点を3つにまとめる形式で、社内Slackで共有する」
ステップ2:(音声ファイルを渡す)
ステップ3:(AIが議事録を出力)
ステップ4:
「いいね。ただ、決定事項と次のアクションを明確に分けて」
このように、会議の目的、参加者、アウトプットの用途を伝えることで、AIは適切なフォーマットで議事録を作成できる。
オンボーディングができている組織の特徴
ここまで読んで、気づいたかもしれない。
AIのオンボーディングができている組織は、人材のオンボーディングも上手い。
なぜなら、本質は同じだからだ。
オンボーディングができている組織
- 業務の目的や背景が明文化されている
- 情報がどこにあるか、誰に聞けばいいかが明確
- 過去の成果物やナレッジが整理されている
- 新人が早く立ち上がり、AIも高いパフォーマンスを発揮する
オンボーディングができていない組織
- 業務が属人化していて、「あの人に聞かないとわからない」状態
- 情報が散らばっていて、どこに何があるかわからない
- 過去の資料が残っていない、または探せない
- 新人もAIも、なかなか成果を出せない
AIの導入は、組織の成熟度を映す鏡だ。
AIをうまく使えない組織は、そもそも業務が整理されていない。逆に言えば、AIを導入するプロセスで、業務を整理し、ナレッジを明文化するきっかけになる。
第6章:業務を「減らす」のではなく「なくす」という発想

業務を110%にするのではなく、ゼロにする
ここまで、AIを使いこなすための考え方を見てきた。
しかし、多くの人が陥る罠がある。それは、「業務効率化」を「110%の成果を出すこと」だと勘違いすることだ。
AIを使えば、今までより10%多くの仕事ができる
AIを使えば、今までより20%早く終わる
確かに、それも効率化だ。しかし、それでは本質的な変化は起きない。業務量が「100」から「90」になっても、すぐに新しい仕事が降ってきて、結局「100」に戻る。これは第1章で見た構造だ。
私が提案したいのは、もっと抜本的なアプローチだ。
「業務を110%にする」のではなく、「業務をゼロにする」という発想だ。
「この業務は本当に必要なのか?」から始める
例えば、週の労働時間を44時間から40時間に減らす(10%削減)という目標だと、以下のような小手先の改善になりがちだ。
- 会議を30分から25分に短縮する
- メールチェックの回数を減らす
- 移動時間を有効活用する
これらは悪くない。しかし、本質的な問題は解決していない。
一方、「この業務をゼロにする」という前提で考えると、視点が根本から変わる。
- そもそも、この会議は本当に必要なのか?(なくせないか?)
- この報告書は、誰が読んでいるのか?(読まれていないなら、作る必要がないのでは?)
- この承認フローは、本当に全員の承認が必要なのか?(自動承認にできないか?)
- この定型業務は、完全に自動化できないのか?
- 自分が「いなくても回る仕組み」をどう作るか?
業務を「減らす」のではなく、「なくす」視点に立つ。
これが、AIを本当に活かすための思考法だ。
抜本的に変えるための3つの問い
業務をゼロにするために、私が実践している3つの問いがある。
問い1:「この業務の目的は何か?」
多くの制作業務は、「クライアントに言われたから」「いつもこうやっているから」という理由で続いている。しかし、その目的を改めて問い直すと、実は不要だったり、別の方法で達成できたりする。
- デザインの細かい修正を何度も繰り返す
- 目的は「クライアントの要望を反映すること」
- 最初の段階でAIに複数パターンを出させ、方向性を固めれば修正回数が減る
- 毎回ゼロから企画を考える
- 目的は「新しいアイデアを出すこと」
- AIに過去の成功パターンを分析させ、そこから発展させる方が早い
- 詳細な進捗報告資料を作る
- 目的は「状況を共有すること」
- プロジェクト管理ツールを見れば一目瞭然
問い2:「この業務は、自分がやる必要があるのか?」
クリエイターは「自分で全部やらなければ」と思いがちだ。
しかし、あなたの時間を使うべきは、あなたにしか出せない価値がある部分だけではないだろうか。
- ラフ案を複数作る
- → AIに10パターン出させて、その中から選ぶ
- 文章の校正・推敲
- → AIに一次チェックさせて、最終確認だけ自分でやる
- 画像のリサイズや形式変換
- → 自動化ツールに任せる
- 市場調査やトレンド分析
- → AIに最新情報を集めさせる
- 資料のフォーマット調整
- → AIがテンプレートに流し込む
あなたの「センス」が必要な部分だけに集中する。
問い3:「この業務をやめたら、何が困るのか?」
試しに、「この作業をやめる」と仮定してみる。
その結果、本当にクオリティが下がるのか? クライアントは気づくのか? 誰も困らないかもしれない。
- 細部までこだわった装飾
- → 実は誰も気づいていない(コアな部分だけでいい)
- 何十パターンもの案出し
- → 3パターンで十分だった
- 完璧を目指した仕上げ
- → 80%の完成度で十分なケースも多い 毎回のミーティング
- → 週1回で十分、あるいはテキストで非同期でも回る
完璧主義が、あなたの時間を奪っていないだろうか。
私がやりたい仕事、○○さんにやってほしい仕事が残る
ここで、重要な視点を共有したい。
「人間にしかできない仕事」は存在しないが、「人間がやりたい仕事」は存在する。
第2章で、私は「人間にしかできない仕事は存在しない」と言った。
技術的には、ほとんどの仕事はAIに置き換え可能だ。
しかし、それは「すべてをAIに任せるべき」という意味ではない。
- あなたがやりたい仕事
- あなたがやることに意味がある仕事
- 特定の人にやってほしい仕事
これらは、技術的に可能かどうかではなく、「誰がやるか」に意味がある仕事だ。
クリエイターの視点で具体例を挙げよう。
ケース1:デザインの最終調整
AIは、レイアウトも配色も、デザインの基本パターンをすべて提案できる。
しかし、最後の「ここだ」という感覚で微調整するのは、あなたがやりたいかもしれない。
なぜなら、そこに「あなたのセンス」があるからだ。AIが作った10パターンの中から選び、さらに「この余白をあと3px広げたい」「このフォントをもう少し太くしたい」という感覚は、あなたにしか出せない。
AIに叩き台を作らせて、あなたが仕上げる。この分業が、最も効率的だ。
ケース2:クライアントへの提案
AIは、過去のデータを分析して、最適な提案内容を考えられる。
しかし、実際にクライアントの前で熱量を持って提案するのは、あなたがやるべきだ。
なぜなら、クリエイティブワークは「信頼関係」で成り立つからだ。AIが企画を作り、あなたが「なぜこれが良いのか」を言葉にして伝える。この組み合わせが、クライアントの心を動かす。
ケース3:コンセプトの決定
AIは、トレンド分析もターゲット分析も、膨大なデータから最適解を導き出せる。
しかし、「このコンセプトで行こう」と決断するのは、あなたがやりたいかもしれない。
なぜなら、それがクリエイターとしてのあなたの「軸」だからだ。
AIに選択肢を出させ、あなたが最終的に「これだ」と決める。その判断に、あなたの価値がある。
仕事がなくなることが怖いのではなく、食いぶちがなくなることが怖い
ここで、もう一つ重要な視点を共有したい。
「AIに仕事を奪われる」という恐怖は、実は「仕事がなくなる恐怖」ではない。
本当に怖いのは、「食いぶちがなくなること」「生活が維持できなくなること」だ。
もし、仮に
- 今の生活水準が維持できる
- 自由な時間が増える
- 好きなことに時間を使える
この状態で「仕事がなくなる」なら、それは恐怖だろうか? おそらく、多くの人にとって、それは理想の状態だ。
つまり、「仕事がなくなる恐怖」の本質は、経済的な不安だ。
だからこそ、重要なのは、AIによって業務が効率化された分を、どう報酬に反映させるかだ。
これは、第1章で触れた「まずは、自分の評価制度を確認してみよう。」を実施してほしい。
これからの働き方:時間ではなく価値で働く
「業務をゼロにする」発想がもたらすのは、「働く」ことの意味の変化だ。
これまでの働き方
- 決められた時間、決められた場所で働く
- 与えられたタスクをこなす
- 労働時間=価値
これからの働き方
- 自分が価値を生み出せる時に、価値を生み出せる場所で働く
- 自分がやりたいこと、やるべきことに集中する
- 成果=価値
AIが定型業務を担い、人間は創造的な仕事に集中する。
そして、創造的な仕事すらもAIが支援する時代に、人間は何をするのか。
答えは、「自分がやりたいことをやる」だ。
それは、仕事かもしれないし、趣味かもしれないし、家族との時間かもしれない。重要なのは、「やらされている」のではなく、「自分で選んでいる」ということだ。
結論:明日から、あなたが始められること

AIはあなたの敵ではなく、パートナーだ
ここまで、長い道のりを一緒に歩んできた。
第1章では、なぜ会社員が生成AIを使わないのか、その構造的な理由を明らかにした。第2章では、それでもAIを使わなければ仕事がなくなる現実を見た。第3章では、クリエイティブな仕事こそAIが得意という逆説を理解した。第4章では、AIネイティブ企業の脅威を数字で確認し、第5章ではAIのオンボーディングという考え方を学んだ。そして第6章では、業務をゼロにする発想を手に入れた。
ここまで読んで、あなたは何を感じているだろうか。
「AIは怖い」と思っただろうか。 「もう手遅れだ」と感じただろうか。
もしそうなら、一つだけ伝えたいことがある。
AIはあなたの敵ではなく、パートナーだ。
AIは、あなたの仕事を奪うために存在するのではない。あなたが本当にやりたいことに集中できるように、退屈な作業を肩代わりするために存在する。
AIを「競争相手」として見るのではなく、「優秀な新人」として迎え入れる。その視点の転換が、これからのあなたのキャリアを大きく変える。
でも、パートナーシップを結ぶのは「今」
ただし、一つだけ覚悟してほしいことがある。
パートナーシップを結ぶのは、今しかない。
5年後、10年後に「そろそろAIを使ってみようかな」と思っても、その時にはすでに遅い。
なぜなら、その時には以下のような可能性があり手遅れになる。
- AIを使いこなす人が、圧倒的な成果を出している
- AIネイティブ企業が、市場の大半を支配している
- あなたの会社は、競合に大きく引き離されている
「様子を見よう」 「もう少し技術が成熟してから」 「周りが使い始めたら、自分も使おう」という姿勢は、危険だ。
なぜなら、AIの進化スピードは、私たちの想像を超えているからだ。半年前に「AIには無理だ」と思われていたことが、今では当たり前にできるようになっている。
だからこそ、始めるのは今だ。
「業務をゼロにする」思考で、クリエイティブの本質に向き合う時代へ
この記事を通じて、私が最も伝えたかったことは、「業務をゼロにする」という発想だ。
これは、単なる効率化の話ではない。
働き方そのものを再定義するという話だ。
これまで、私たちは「どうやって早く終わらせるか」「どうやって多くの仕事をこなすか」を考えてきた。
しかし、これからは違う。
「この仕事は、本当に必要なのか?」 「この作業は、誰がやるべきなのか?」 「自分は、何に時間を使いたいのか?」
こうした問いを持つことで、あなたの働き方は根本から変わる。
そして、AIはその問いに答えるための最強のツールだ。
クリエイターとして、あなたには「創造する喜び」があるはずだ。
しかし、その喜びを味わう時間が、退屈な作業に奪われていないだろうか。
- 何度も繰り返す修正作業
- フォーマットの調整
- 資料の整理
- 単純なリサイズや変換
こうした作業をAIに任せることで、あなたは本当に大切なことに集中できる。
それは、クリエイティブの本質に向き合うことだ。
そして、重要なのは、完璧を目指さないこと。
最初から完璧にAIを使いこなせる人はいない。
新人を育てるように、少しずつAIと対話し、少しずつ精度を上げていく。
その小さな積み重ねが、5年後のあなたを作る。
最後に
この記事を読んでくれたあなたに、心から感謝したい。
生成AIという技術は、確かに私たちの働き方を大きく変える。しかし、それは「脅威」ではなく、「可能性」だ。
AIと共に働く時代は、もう始まっている。
その時代を、恐れるのではなく、楽しもう。
5年後のあなたが、今日のあなたに感謝する日が来る。
その日を信じて、今日、小さな一歩を踏み出そう。

