生成AIと、どう付き合う?仕事での活用術と、依存しすぎない思考のコツ

生成AIの話題を耳にする機会が、ここ1~2年で一気に増えたと感じています。
ChatGPT、Claude、Geminiといった主要モデルの登場により、個人の情報収集や文章作成、画像生成など、従来では時間と手間がかかっていた作業が、圧倒的なスピードで進められるようになりました。

私自身も仕事や日常の中で生成AIを活用する機会が増え、その便利さとともに「使いこなし方」の重要性を実感しています。一方で、周囲からは「使ってみたいけれど、どこから手をつければよいかわからない」「うまく使えている気がしない」といった声を耳にすることも少なくありません。

そこで本記事では、自身の実体験をベースに、生成AIを日常業務でどのように活用しているのか、また、付き合う上で気をつけているポイントについて整理してみました。
高度な専門知識がなくとも始められる範囲の話にとどめつつ、実際の仕事の中で感じたリアルな距離感を含めて記しています。

すでに日常的に生成AIを使っている方にとっては共感できる部分があるかもしれませんし、これから活用を検討されている方にとっては、導入のヒントになることを願っております。

目次

生成AIとは?

「生成AI(Generative AI)」とは、文章・画像・音声・動画などのコンテンツをゼロから生み出すことを目的とした人工知能技術です。
これまでのAIが「すでに存在するデータを分類・予測・判別する」ことに長けたものであったのに対し、生成AIは“創り出す”ことを得意としています。

代表的な例として挙げられるのが、OpenAIが開発した「ChatGPT」です。2022年末に公開されたこのツールは、自然な対話ができるチャット型AIとして世界中で注目を集め、ビジネスパーソンからクリエイターまで幅広い層に支持されるようになりました。

その後も、画像生成の「Midjourney」や「Stable Diffusion」、音声合成の「ElevenLabs」、動画生成の「Runway」など、各分野で先進的なツールが登場し、生成AIは急速に日常業務の中に入り込むようになっています。

2023年以降は、ChatGPTの上位モデルであるGPT-4、GPT-4oの登場を皮切りに、Googleの「Gemini」やAnthropicの「Claude」、Metaの「LLaMA」など、さまざまな企業による高性能なAIモデルが登場しました。これにより、生成AIは一部の技術者やクリエイターだけのものではなく、一般のビジネスパーソンにとっても“身近に使えるツール”となりつつあります。

現在(2025年)は、「AIを使いこなすこと」が特別なスキルではなくなりつつある一方で、「どのように使うか」「何のために使うか」といった視点がより重要になってきていると感じています。
AIが“何かを生み出してくれる”時代から、“自分の意思をもとに一緒に考えてくれる”時代へ――まさに、使う人の思考や判断力が問われるフェーズに入ってきていると実感しています。

生成AIをどのように業務で活用しているか

生成AIの導入当初は、正直なところ「何に使えばいいのかよく分からない」という状態からスタートしました。
しかし日々の業務に組み込んでいく中で、具体的な使いどころが徐々に明確になってきた感覚があります。以下に、私自身が実際に行っている代表的な活用パターンを5つ紹介します。

(1)議事録作成の下地として活用する

会議内容を録音し、音声認識ツール(Pixel 7の録音機能やCLOVA Noteなど)でテキスト化したものをChatGPTに渡すことで、要点を抽出・整理する作業が非常に効率化されました。
もちろん、そのまま納品できるような完璧な議事録にはなりませんが、初稿を一瞬で生成できる点は非常に魅力的です。
従来、頭を整理しながら文字起こししていた時間を、確認と編集の時間に転換できるようになりました

(2)メール文や提案書のたたき台として活用する

ビジネスメールや提案資料の冒頭文など、「型はあるけれど、微妙な言い回しに迷う」場面において、生成AIは非常に心強い存在です。
特に社外とのやりとりにおいては、適切な敬語や文体選びに慎重になる場面も多く、ChatGPTに意図を伝えながら草案を生成することで、思考の補助としても機能しています。
最近では社内でも「まずはGPTに書かせてみよう」という空気感が広がっており、ちょっとした文章作成に活用する人が増えている印象です。

(3)リサーチや事前準備の効率化

打ち合わせやヒアリングの前に、相手企業の情報や業界の動向を把握する作業にもAIを取り入れています。
特にPerplexityといった生成AIベースの検索エンジンは、複数のソースを要約しながら文脈を含めて回答してくれるため、情報の「深掘り」の効率が大きく向上しました。
事実確認というよりは、「背景を掴んで臨む」ためのツールとして非常に有効です。

(4)ビジュアル素材の生成

企画書やブログ記事などに挿入する画像を作る際、Chat-GPT、MidjourneyやAdobe Fireflyなどの画像生成AIを活用しています。
プロンプトを工夫することで、用途に合ったビジュアルを短時間で出力できるようになり、これまで素材サイトで長時間探していた手間が大幅に削減されました。
一発で理想の画像が出ることもあれば、試行錯誤を繰り返すこともありますが、それ自体が発想のヒントになることもあります。

(5)思考整理や相談相手としての利用

少し意外かもしれませんが、生成AIを「壁打ち」の相手として使う場面も増えています。
最近のAIモデルは、一定の共感的な応答もできるようになっており、「なぜうまくいかなかったのか」「次に何をすべきか」といった内省的な問いかけに対して、整理された視点を返してくれることがあります。
もちろん人間同士の対話に勝るものではありませんが、自分の思考を整えるひとつの補助線として、有用なツールだと感じています。

依存しすぎないために考えてること

生成AIを活用する上で、私が強く意識しているのは「便利さの裏にある落とし穴に気づくこと」です。
ツールとしては優秀でも、使い方次第で「考えない人」になってしまうリスクがあると感じています。以下に、自分なりに気をつけている5つのポイントを挙げます。

1)検索の代わりになるようで、ならない(今のところ)

生成AIは、複数の情報をまとめ、要点を整理して提示してくれる点で非常に優れています。
特に、自分の状況や前提を伝えたうえで「今、何をすべきか」といったパーソナルな問いに答えてもらう際には、高い効果を発揮します。

一方で、単純に用語の意味を調べたいときや、最新のニュースソースを探したいときには、従来の検索エンジン(Googleなど)の方が精度・スピードの両面で適しています。
生成AIは万能ではなく、それぞれの用途に応じて使い分ける意識が不可欠です。

(2)信用しすぎない・期待しすぎない

生成AIが返してくる回答は、もっともらしく見えることが多いため、ついそのまま信じたくなってしまいます。
しかし実際には、事実と異なる情報を自信満々に返してくることも珍しくありません。出典が架空のケースや、因果関係が誤って提示されるケースも確認されています。

また、AIは人間の持つ“行間”や“現場感”を理解することが苦手です。
業界ごとの慣習や、社内特有のニュアンスなどを踏まえた対応が必要な場面では、やはり人の判断が不可欠になります。

「AIに任せておけば大丈夫」という姿勢ではなく、「AIが出した答えに、自分が責任を持てるか」という観点を常に持ち続けるようにしています。

(3)魔法ではないと理解する

生成AIは、ある意味“自動で考えてくれる存在”のように見えますが、実際には「どのような指示(プロンプト)を出すか」で結果が大きく変わります。
つまり、“指示する側”の思考力や構造化力が問われるのです。

はじめて使ったときには、「これで伝わるだろう」と思って入力したプロンプトが、驚くほどズレた回答を返してきて落胆することもありました。
その後、「誰に・どんな背景で・何を・どうしてほしいのか」を明確にした指示を出すよう意識することで、結果の質が大きく向上しました。

社内でAIを共有資産として活用する場合には、こうした“プロンプト設計のノウハウ”をテンプレート化し、チームで共有していくことも重要だと感じています。

(4)驕らない

生成AIを使いこなしていると、つい「自分がすごくなった」ような錯覚を覚えてしまいます。
たしかに、効率は格段に上がり、今まで苦手だった作業にも手を出しやすくなった感覚があります。

しかし、出力された成果物を「正しく評価できるか」「その内容に自分として説明責任が持てるか」という問いに対して、自信を持って答えるには、やはり自身の知識と経験が不可欠です。

生成AIが生成したものの“質”を見極めるには、私たちの側に判断軸がなければなりません。
AIを使えば使うほど、実は「自分の思考の深さ」が問われる。これは強く実感していることのひとつです。

(5)いきなり大きな成果を求めない

生成AIを導入すると、「すぐに何か成果が出るのでは」といった期待が先行しがちです。
特にマネジメント層から「AIを使っているのだから、業務効率が一気に改善するはず」と見られているケースもあるかもしれません。

たしかに、ルーティン業務の効率化や文書作成の初速アップなど、目に見える効果は早い段階で出ます。
しかし、そこから本当に業務改善の成果につなげていくには、「どの業務にAIを組み込むか」「どう測定・検証するか」といったプロセス設計が欠かせません

私自身も、まずは小さな業務から試し、効果を測り、うまくいった部分から横展開していくというやり方を続けています。
結局のところ、AI導入も業務改善の一環である以上、地道なトライアンドエラーが最も現実的で確実な道だと考えています。

まとめ:AIと一緒に“考える力”が問われる時代へ

ここまで、生成AIを業務で活用するにあたっての実践例や、依存しすぎず付き合っていくための視点について、自身の経験をもとに整理してきました。

生成AIの登場によって、文章作成や調査、企画資料の下書きといった「一人で黙々と進めていた作業」が、驚くほど短時間でこなせるようになったことは間違いありません。
一方で、その便利さに頼りすぎてしまうと、判断や思考といった本来“人が担うべき部分”が弱くなる可能性もあります。

生成AIは、決して“すべてを代行してくれる存在”ではなく、“考えるきっかけを与えてくれる存在”です。
その出力を受け取った上で「これは使えるか?」「自分ならどう言い換えるか?」と問い直す姿勢がなければ、AIの力を活かしきることはできないと感じています。

今後、生成AIはさらに進化を続けていくでしょう。
ツールそのものの性能は上がり続ける一方で、「使いこなす力」や「判断する力」は、変わらず私たち人間に委ねられたままです。

だからこそ大切なのは、基本的なことだけど、“AIを正しく使いながら、自分の頭でもしっかり考え続けること”
そのバランス感覚こそが、これからの時代に求められる本当のスキルだと感じています。

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生成AIが急速に普及する中、「使いこなしたいけど、どう付き合えばいいのかわからない」という声もよく聞かれます。
大切なのは、AIにすべてを任せるのではなく、自分の思考や判断と組み合わせて“いい相棒”として使っていくこと。

BuddieSは、そんな“ちょうどいいAI活用”を支えるための業務支援プラットフォームです。
議事録や資料作成の効率化はもちろん、社内でのナレッジ共有や、部門ごとのプロンプト活用をサポート。
「うまく使えない」「導入したけど活かしきれていない」といった課題にも、実務に即したテンプレートや活用ガイドでしっかり対応します。

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この記事を書いた人

Webディレクター兼デザイナーとして、デザインからディレクション、マーケティングまで幅広く担当。生成AIを業務に積極的に取り入れ、Web制作の効率化と品質向上の両立を実現。プロジェクトでは社内外の橋渡し役を担い、多角的な視点で最適解を導く。ユーザーとの誠実なコミュニケーションを重視し、成果に繋がるクリエイティブを追求している。

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